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2019/09/01

neovim で plugin を利用せずに sudo を使う

root 権限が必要なファイルを neovim や vim で編集する事があると思います。
その際、 sudoers で許可されているユーザならば
  • :write ! sudo tee % > /dev/null
で sudo を使って root として書き込むことができます。

ですが、 neovim では
  • :write ! sudo tee % > /dev/null
    • sudo: no tty present and no askpass program specified
    • shell returned 1
と言われて sudo が使えません。


解決策

以下のようなコマンドを定義することで対応できます。 このコマンドは vim と neovim の両方で利用できます。

vim で利用する場合は ~/.vimrc に追記します。
neovim で利用する場合は ~/.cofig/nvim/init.vim に追記します。


使い方

  • $ nvim /etc/hosts
    • root 権限が必要なファイルを開いて編集します。保存の際は
  • :SudoWriteCurrentBuffer
    • を実行します。
    • パスワードを入力すれば root で書き込む事ができます。


動作確認をした環境

大元の環境(vim と neovim で動作確認済)
  • OS: macOS Mojave 10.14.6 (18G95)
  • Homebrew: 2.1.11
    • Homebrew/homebrew-core: (git revision 883ee; last commit 2019-09-01)
  • neovim: v0.3.8
  • vim: 8.0.1365
  • sudo: version 1.8.17p1
    • Sudoers policy plugin version 1.8.17p1
    • Sudoers file grammar version 45
    • Sudoers I/O plugin version 1.8.17p1
  • docker: 19.03.1, build 74b1e89

    docker を使っていくつかの distribution でも動作を確認
    • Alpine linux: 3.10.2
      • neovim: v0.3.7
      • vim: 8.1.1365
      • sudo: version 1.8.27
        • Sudoers policy plugin version 1.8.27
        • Sudoers file grammar version 46
        • Sudoers I/O plugin version 1.8.27
    • CentOS: release 7.6.1810 (Core)
      • vim: 7.4.1099
      • sudo: version 1.8.23
        • Sudoers policy plugin version 1.8.23
        • Sudoers file grammar version 46
        • Sudoers I/O plugin version 1.8.23
    • Fedora: release 30
      • vim: 8.1.1912
      • sudo: version 1.8.27
        • Sudoers policy plugin version 1.8.27
        • Sudoers file grammar version 46
        • Sudoers I/O plugin version 1.8.27
    • Ubuntu: 18.04.3
      • vim: 8.0.1453
      • sudo: version 1.8.21p2
        • Sudoers policy plugin version 1.8.21p2
        • Sudoers file grammar version 46
        • Sudoers I/O plugin version 1.8.21p2
    • Debian: 10.0 (buster-20190812)
      • vim: 8.1.1401
      • sudo: version 1.8.27
        • Sudoers policy plugin version 1.8.27
        • Sudoers file grammar version 46
        • Sudoers I/O plugin version 1.8.27


    何故 neovim では sudo が使えないのか

    ここから先は先程の Vimscript を作るに至った経緯を書きます。
    興味のある方はご覧ください。

    まず sudo の error message
    • sudo: no tty present and no askpass program specified
    を見ると、 tty と askpass が無いと言っています。


    tty と askpass

    実際、vim では
    • : ! tty
      • /dev/ttys004 
    などが得られますが、 neovim では
    • : ! tty
      • not a tty
      • shell returned 1
    と言われてしまいます。

    askpass は使ったことが無いのですが、fedora の container で dnf search すると
    の様に、いくつかの askpass が確認できます。のでちょっと試してみます。
    • x11-ssh-askpass
    • openssh-askpass
    • ksshaskpass
    という感じで全然起動してくれません。
    ですがエラーの内容的に display を開こうとしているのが分かります。
    なので、おそらく GUI で password を聞くような物だと思われます。


    askpass を作る

    askpass について調べていると、どうやら
    • password を stdout に出力するもの
    であることが分かりました

    よって
    • neovim 内で password を取得
    • password を stdout に出力する
    • password の履歴はどこにも残さない
    ようなものを作れば解決できそうです。

    それで完成したのが /tmp/askpass を作るこの Vimscript です。

    本当はファイル名は固定でなく tempfile 的な物で対応するなど、改善点はいくつも存在するかと思います。
    ですが私は Vimscript に明るくないので、"3つの条件を満たして動けばOK" という条件で作成しました。
    他により良い対応方法があればご指摘頂けると幸いです。


    その他の解決策

    調べた結果、 suda.vim というプラグインがあるようです。
    また、他にも sudo.vim など、似たようなプラグインはいくつかあるらしいです。

    これを使わなかった理由としては
    • docker のコンテナ内で作業をする事が多々ある
    • init.vim を配置するスクリプトは既にある
    • plugin を install するスクリプトはまだ無い
    • 全コンテナに plugin を入れるのも面倒だし結構サイズがある
      • $ du -sh ~/.config/nvim/repos
        • 100M    /Users/atton/.config/nvim/repos
    などがあります。

    また、"sudo が使えるならこの際 root になってしまう" という解決策もあるのですが
    • 前述した理由の後半3つ
    • 複数人数のユーザが使う環境だと、 /root 配下に自分専用の設定を置くことになる
    のでこちらも無しで。

    他には、 "sudoers で NOPASSWD を設定する" という解決策もあります。
    が、sudo を no password でガンガン使えば実質 root で作業しているのと変わらず、危険すぎるのでこちらも無し。

    ということでこの Vimscript を書くに至った、という訳なのです。


    おまけ: 環境変数の unlet

    スクリプト内部では askpass の場所を示す SUDO_ASKPASS を設定している部分があります。
    具体的には
    • let $SUDO_ASKPASS  = s:askpass_path
    ですね。

    この環境変数を定義していると、 sudo -A した際に指定したファイルが実行されます。
    一応、 :SudoWriteCurrentBuffer の実行後にはなるべく元の環境に戻すために
    • unlet $SUDO_ASKPASS
    を書いていた時もありました。

    ですが動作確認中、 Vim 8.0.1365 で unlet 時にエラーが出てしまいました。
    また 、-A を指定しなければ sudo の動作は変わらないので 、残っていても無害と判断して unlet しない形になりました。


    おまけ: shebang を指定しないとどうなるのか

    ちなみに askpass の shebang を消すと
    • sudo: unable to run /tmp/askpass: Exec format error
    • sudo: no password was provided
    と言われる為、きちんと書いておく必要があります。


    おまけ: x flag を付けないとどうなるのか

    setfperm(s:askpass_path, "rwxr-xr-x")  をせずに 644 のままだと
    • sudo: unable to run /tmp/askpass: Permission denied
      • sudo: no password was provided
      と言われるので、こちらもきちんと指定しておく必要があります。


      参考